『しゃべれどもしゃべれども』

しゃべれども しゃべれども

しゃべれども しゃべれども

★★★★☆

学生時代の恩師にたくさん本をいただいたはいいが、長らくの間、積ん読に。お風呂読書の友が必要になったので先月からそれらを引っ張り出してきては読んでいる。その第一号がこの『しゃべれどもしゃべれども』なのだった。

表紙を一見したところどうも古めかしい雰囲気で、下町人情物語みたいなイメージを抱いてしまい「どうかなあ、あうかなあ」とおずおず読み始めたところ、文章も内容もすっきりしていてとても読みやすかった。表紙に男女が描かれているのでラブストーリーか夫婦ものかと思えば、見当違いの思いこみ。私は非常に若者向けな1冊だと感じたのだけど、その層にあてるには少し装丁が素朴すぎるような気もする。


いろんな立場の人間がそれぞれ問題を抱えながら生きているんだということをまったく重くならずに描いていることが、逆に現代社会に生きる人たち誰もが少なからずそうであるという事のリアルさを感じさせていて、読んで良かったと思えた1冊でした。