『スパイダーマン3』

★★★★☆

シリーズ通して「正義」にスポットを当てて突き詰めていったところが良かった。「ヒーロー」連呼でこれぞアメリカって感じなんだけど、同時にアニメや特撮が身近な日本人にもなじみやすいテーマなんだと思う。以下ネタバレ有。

気になった点

3ともなると「ヒーローとは」に的が絞られるのは仕方がないにしても、ピーターの心に決着を付けさせること以外がどうでも良くなりすぎだった印象。ピーターの主観はシリアスな反面、客観的に見てしまうとあほっぽいというか、黒ピーターが勘違い男に変身して行く辺りのギャグは滑りすぎだろうとか、勘違い人間の滑稽さを出したかったのなら滑ることこそが正解なんだろうかとか。全体を見てもやっぱり一見シリアスでいてどこかが軽く、みんなあっさり死にすぎとか、別にそれほどあっさりではないのかもしらんがそれで解決して本当にいいんかい、と問いたくなる不完全燃焼さがあった。サンドマン、ヴェノム、ハリーにMJと回収すべき点が散在しすぎて1個ずつの存在感が軽くなりすぎたのか。特にハリーはいくらなんでもかわいそうすぎたのでは……ハリーのかわいそうさが際だちすぎて、せっかく色々突き詰めてきたのに結論が「ヒーローは正義だから多少の犠牲は仕方ないよね」と投げ出された気分がなきにしもあらず。

良かった点

といいつつも、ピーターとハリーが敵対関係から仲間になる辺りの流れはすごく燃え燃えなテンションで楽しかったので、あれを見たらこの映画は満足かな。拳握りながら「いけー!」てわくわく出来るのはヒーロー物として大切なことだと思うし、だからこの映画のは各々思い悩みすぎて暗いけど、スパイダーマンが空を飛び回ったり敵と戦ったりしてる周辺でわくわくっとできたらそれで正解なのだ、たぶん。