『世にも奇妙な物語』

『世にも〜』では謎めいて薄暗くてじっとりしてるような話が好なんだけど、今回は『日の出通り商店街 いきいきデー』と『透き通った一日』が好きだった。おばかと、さわやか?

『日の出通り商店街 いきいきデー』

ばかばかしさが突き抜けてて、最後の空に駆け上る大決戦なんか声出して笑った。あほだ。中嶋らも氏の原作は読んだことないんだけど、商店街の人々が戦うっていう設定は何度か見たことがあって、でもそれが何だか思い出せなくてむずむずする。多分漫画だった。ゴツボ☆リュウジあたりだったかなあ。

『透き通った一日』

自分が死んでみたら、仲良しの友達も頼れる先生も、本当は自分のことなんて思っていちゃくれなかった……なんていかにもな学園ものみたいで、最初のうちは『世にも〜』じゃなくても良いんじゃないのかなあなんて思っていたんだけど、画がそれこそ「透き通った」ような色できれいだったし、落ちが予想外だったのでこういうのもありか。あと、しっとり見せようとしてるのかと思ったら、思いがけずコミカルな結果で後味がよかった。学校とか学生ってそれだけでどっかノスタルジックなんだけど、屋上から落ちそうになった友人を助けて主人公と交差する瞬間の画が特に澄んでて好みだったな。少年少女ってのは良いもんだね!

『フラッシュバック』

裏の裏は表でした……他人の記憶を買って五感で擬似体験できる装置が出来たって設定は、実際にこうなったら、それって本当に「擬似」と読んで良いんだろうかと想像してみるとおもしろかった。だって視覚だけじゃなくて聴覚や触覚まで再現されたら人間の機能としては、もう「経験としての知覚」の域に入っちゃうんじゃないのかしらん。話自体はあまり物珍しさはなかったなあ。ただ、最後の1回捻りが来た段階で2回目の捻りが来るとばかり思っていたので、あっさりとジ・エンドで驚いた。自分が嘗め回した飴を殺害相手にくわえさせるって言う設定の気持ち悪さだけはばっちり決まってた。あれはきもいわ。

『これ……見て……』

戸田恵梨香さんがよかった。役者さんの演技はよかったのに、脚本がよくわからんかったな。いちばん謎だったのが冒頭の交番のシーン。あれはなんの意図があったんだ……戸田恵梨香さんは、まっすぐないい子と黒い子の役がどっちも違和感なくはまるキャラクターだなあ。『野ブタをプロデュース。』の時も、心からの良い子なのか、裏のある子なのかがなかなか解らなくて悶々としたのを思い出した。あと、少年が真面目に怖かった。あれ、夢に出てきそうだぜ! 名配役。

『さっきよりもいい人』

タイトルバックがよかったなあ。青い空にふわっと文字が浮かぶ画が好み。お話は、演出はコミカルだけど悲しい内容やったな……あれって結局ラストにひとの足を踏んじゃったことで戻るのはループの初日なのかなあ。つらすぎる。実際にあんな無限ループにはまったら、生きる気力がなくなりそう。悪いことは悪いってわかってるけど、常に「いい人」であり続けることの難しさとか、誰かにとって良いことが誰かにとっての悪いことなんだとか、案外人の世のシビアさに言及してるテーマだったな。