堂本剛の罪

KinKi you コンサートも第2弾が始まり、東京公演も無事終わり、参加したみなさんのレポートを読めば読むほどに幸せな気分に包まれて「キンキがすきだ!」という気持ちが溢れてしかたがない。大阪が楽しみで楽しみでたまりません。


けれども、その幸せが大きさければ大きいほどに、やはり私たちは忘れてはならないのだと、毎夜再確認せずにいられないことがある。それは、堂本剛という男のひとことによって壊された、何千、何万というファンの繊細な心の問題である。
言葉を濁さず単刀直入に言うならば、彼・堂本剛氏が、相方・堂本光一氏をさして、

彼の加齢臭はラベンダーのにおいとかがすると思う

などとのたまったとんでもない発言の責任の所在についてである。


それはつまり、私にしてみれば、つい数日前までは「ハーブ園で手に入れた、1日の終わりを優しく彩るちょっぴりぜいたくな癒やしの石鹸(ハート)」だったはずの「三十路手前のおっさんに近いアイドルの加齢臭」でわざわざ毎晩身体を洗うのだという現実であり、また私の友人などは「お風呂あがりの肌へアロマな安らぎ(ハート)」だったはずの「三十路手前のおっさんに近いアイドルの加齢臭」をわざわざ肌に塗りたくっているのだという現実に他ならない。


この発言は、「三十路手前のおっさんに近いアイドルが体内で分泌できるにおいを、わざわざお金を払って身体に塗りたくったり、部屋に散布したりして癒やされる」という私たち庶民の悲しい現実の他に、もうひとつ、大きな絶望を示している。それこそが、「私たち庶民がお金を払ってまで手に入れようとする香りを、堂本剛氏は、彼が堂本光一氏の相方であるという事実のもとにラベンダーかぎほうだいですね、自慢ですかそうですかよかったですね!」という曲解……ではなくて、もっと冷静な、そして切実な、
「剛、相方に、夢みすぎじゃね?」
という、まあ、大体知ってた現実である。


この問題において、責任の所在をはっきりとさせるならば「相方に夢を見すぎな剛氏」が悪いのか「相方に夢を見させすぎな光一氏」が悪いのか、賢明なファンの皆さんならばもうおわかりだろう。どっちもどっちなのである。
なぜならば、光一氏もまた相方である剛氏に対して「言うこと言うことおもしろくてたまらない」とか「どんな髪型やファッションも彼だからこそ似合ってしまう」とかいった夢を見すぎているからだ。


だが安心してほしい。彼らは決して夢に夢みる現実逃避などに走っているのではない。彼らにとって相方が「いつも輝き、時にかわいく、常におもしろい」、それはまごうことなき、お互いの現実なのだから。


ぽかんと口を開けておいてけぼりをくらうファンへの保証には、そっと優しく「放置プレイ」という快楽への道が約束されているのだ。