相棒 Season10 #第3話「晩夏」

なかなかアクが強くておもしろい回だった。相棒はやっぱり今回みたいに事件そのものの規模は大きくない地味目の回の方が好きだな。社会風刺色の強く物々しい話も相棒の色だとは思うけど、少なくとも私がこのシリーズを「見続ける」理由はこういう味のある掌編の魅力が大きいと思う。過分な文学のにおいとでもいうか。時代錯誤にも感じる気障ったらしい物言いやクラシックな登場人物の性格、モチーフ。身動ぎしたくなるような、あの気恥ずかしいほどの物語臭さがなんだかんだ言って好きなんだよなあ。


特に物語のラストで「終わるとおもいきやまだ」を繰り返す焦らしようは、女流歌人とその師匠の引き伸ばし長らえてきた恋路の果てがあっけなくぷつりと途切れた様と、じりじりと尾を引きずりながら鳴き続けてぽとりと地に落ちる蝉の命とがシンクロして、生々しくもファンタジックだった。